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や、16年12月にはベルリンでクリスマス・マーケットに車両が突入する事件がありました。17年に入ってからも、フランス・ルーブル美術館、パリ=オルリー空港、それからより最近では、イギリス・ロンドンで車両とナイフを使った殺傷事件がありました。ロシアのサンクトペテルブルグやスウェーデン、フランス・シャンゼリゼでも銃撃がありましたし、イギリスのマンチェスターでは、10代の若者が集まったコンサートの際の爆弾テロなど凄惨な事件が起こっています。こうした欧州のテロ事件を見ると、最近の傾向がよく表れています。15年以降の多くのテロは、テロリストが決死の覚悟で起こしていることが特徴です。そして、もう一つの特徴は、トラックやナイフなど専門的な知識・技術、準備を必要としない手段で行われていること。爆弾が使われることもありますが、全般にテロを起こすハードルが低くなってきていると言えるでしょう。この背景には、いわゆる「イスラム国」、ISILの戦略があります。イスラム国は、以前は世界に向けて「イスラム教徒は(ISILが打ち立てた)カリフ制国家に移住せよ」と呼びかけていましたが、最近は有志国連合の攻撃によって劣勢に立たされ、戦闘員などを集めるのが難しくなりました。そこでISILは方針を変え、「イスラム教徒は住んでいる場所で抵抗すべし」と呼びかけるようになり、広報誌、インターネットを使って車両を使ったテロ、ナイフでの殺傷方法などを非常に具体的な形で教えるようになりました。これによって、テロ組織がいわゆる「セル(細胞=分子・小集団の意)」を派遣することなく、ホームグロウン、ローンウルフと呼ばれる、過激思想に影響された人間が自国内で、単身で起こすテロが増加しています。通常、テロを未然に防ぐために組織同士のコミュニケーションを監視した捜査を行いますが、単独で過激化し実行するこのようなタイプのテロは、捜査や防止が非常に難しくなっています。安全は「情報」から――身を守る「臆病さ」日本人も過去にイスラム過激派の事件で犠牲になっています。古くは1994年、フィリピン発の航空機爆破事件、そして最も犠牲者が多かったのは9・11、アメリカ同時多発テロです。アルジェリアのイナメナスでは、日本企業がかかわる天然ガス精製プラントが襲われました。それでは、イスラム過激派は日本人をターゲットにしているのでしょうか。これは、半分イエス、半分ノーという答えになるでしょう。イスラム過激派が、日本人を主なターゲットにしているかと言うとそうではないでしょうが、広い意味のターゲットには含まれています。一例を挙げれば、2015年に、邦人ジャーナリストなど2名がISILによって殺害される事件がありましたが、その際、ISILは今後も日本人を狙うと明らかにしています。彼らの言う「十字軍」の中には日本も含まれており、アラーを信じないもののグループである日本は、ターゲットにされていると考えるべきです。外務省では、ダッカ襲撃事件の後、邦人保護の状況を点検する検討会議を開きました。そこで確認されたのは、日本人も標的となり得るということを改めて強く認識すること、そして三つの傾向です。一つは、テロは中東、アフリカだけでなく欧米、アジアなどにも広がっているということ、二つ目は、一般人が多数集まる場所、ソフトターゲットが狙われていること、そして三つ目が、前述したようにホームグロウン、ローンウルフが増えていることです。それに対する施策も三つの方向を打ち出しています。一つ目は、国民の安全対策意識を高めること。海外進出の経験が豊富で、資金力もある大企業では、ある程度安全対策が整っていると思いますが、中堅・中小企業やソフトターゲットになりかねない日本人学校、そして、留学生や短期旅行者などについて対応能力を強化しなければいけないと考えています。二つ目は国民への情報伝達の強化です。外務省では既にさまざまな海外安全情報を発信していますが、より精度の高い情報を、分かりやすく、タイムリーに伝える努力を強化します。三つ目は、そういった施策を実施する上での体制の強化です。試みの一つが、今年からスタートした「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」です。これは、人気邦人被害のあったイスラム過激派組織等によるテロ事件(括弧内は邦人死者数)航空機内爆破事件(1名)南部ルクソールでの観光客に対する襲撃(10名)同時多発テロ(24名)バリ島のディスコ等で爆発(2名)日本人外交官銃撃(2名)邦人ジャーナリスト襲撃(2名)邦人旅行者拘束・殺害(1名)バリ島の飲食店で爆発(1名)ムンバイ同時多発テロ(1名)日系企業ガスプラント襲撃(10名)邦人が過激派組織に拘束・殺害される(2名)チュニスの博物館で観光客に対する襲撃(3名)邦人銃撃(1名)ダッカ襲撃テロ(7名)フィリピンエジプトアメリカインドネシアイラクイラクイラクインドネシアインドアルジェリアシリアチュニジアバングラデシュバングラデシュ1994年12月1997年11月2001年9月2002年10月2003年11月2004年5月2004年10月2005年11月2008年11月2013年1月2015年1、2月2015年3月2015年10月2016年7月外務省海外安全ホームページ(上)。国別で見られる危険情報やスポット情報など役立つ情報がリアルタイムに発信される。また、国ごとの風俗・習慣など気を付けるべき点がまとめられた安全対策基礎データなどが公開されている。「ゴルゴ13の中堅・中小企業向け海外安全対策マニュアル」や、「たびレジ」(下)もここからアクセスできる。出張・旅行など海外渡航前には必ず確認しておきたい。59 2017.7 2017.7 58海外安全対策特集「海外安全対策を、トップのリーダーシップで」