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時評2025年6月号Monthly Jihyo 2025.06

◆森信茂樹が問う、霞が関の核心
国民生活への影響を防ぐこと、それが財政当局の使命
財務事務次官 新川 浩嗣
 諸物価高騰などインフレ状況下に入り、また膨大な国債残高を抱えながらも金利上昇局面に移行するなど、わが国の財政運営はかつてない難局を迎えている。財務省は内外環境の変化を鑑み新年度予算編成に新機軸を取り入れるなど、金利の変動が国民生活に大きな影響を及ぼさないよう、日々奮闘している。が、そうした努力を空しくさせるような財務省解体論が声高に叫ばれるのが現実だ。新川浩嗣次官に、財政当局を取り巻くこれらの諸相について広範に解説してもらった。

◆内閣府地方創生推進政策最前線
・地方創生推進の最新動向
 内閣府地方創生推進事務局長 石坂 聡
石破総理が政策の1丁目1番地に掲げる「地方創生2.0」は、今後10 年間という近い未来を見据え、地方の活性化を実現するための基本構想である。この6月を目途に、策定の最終段階に差し掛かった現在、石坂聡事務局長に同構想の主要骨子、その背景となる人口動態、より良い将来に向けて考え得る各種方策等について解説してもらった。

・地方・地域の持続的な発展を、人の活力で支援
 株式会社タイミー代表取締役 小川 嶺
スポットワークという新たな概念を労働市場に普及させ、急速な成長を実現した㈱タイミー。短期アルバイトの枠を超え、全国のさまざまな分野で今日も同社を通じてマッチングしたワーカーが、生産活動を支えている。特に人口減が深刻な地方、そして一次産業等ではその存在が地域の存立を左右すると言っても過言ではない。地方創生の担い手として可能性がふくらむ同社の現在と今後を、小川嶺代表に語ってもらった。

◆特集:持続性ある能登の復興を展望する
・災害対応・インフラ整備で期待される、官民連携の効果
 北陸地方整備局長 髙松 諭
令和6年能登半島地震は、地形・地勢の特殊性も含めて大規模自然災害対応の難しさと、それでも困難な状況下で懸命な復旧にあたった各関係者の人的努力が結実した象徴的な事案となった。今後、同地域が持続的な再生と復興を歩んでいくにあたり、髙松諭局長に発災直後の対応を顧みるとともに、その後の整備事業と今後に向けた各種施策について語ってもらった。

・座談会/産学官の連携によって、災害復興のモデル確立を目指す
 石川県副知事 浅野 大介
 大阪公立大学大学院文学研究科人間行動学専攻地理学専修准教授 菅野 拓
 株式会社タケエイ取締役会長 三本 守
2024年1月1日16時10分、最大震度7という非常に大型の地震が能登半島で発生、現在はまさに復興への過程にある。少子化人口減という厳しい環境制約の中、持続的な復興と、それを実現するための産学官による協力体制はどうあるべきか。今回、この地に深く関わる御三方それぞれより、課題と対策、そして未来へ向けた針路について議論を展開してもらった。

◆特集「事前防災」を徹底し“南海トラフ巨大地震”に備える
・「能登半島地震」から学んだ気付きをもとに、“南海トラフ巨大地震”対策を強化する
 三重県知事 一見 勝之
・災害を正しく恐れて、「防災の日常化」を
 衆議院議員 鈴木 英敬
・地域住民と共に「南海トラフ巨大地震」を見据え、対策を講じていく
 三重県伊勢市長 鈴木 健一
6月2日、三重県伊勢市で「国土強靱化と高速道路の防災活用」をテーマに三重県・時評社主催のセミナーが開催される。南海トラフ巨大地震への備えとして、高速道路の長寿命化と防災機能の強化を図ることが目的。本セミナーの開催に先立ち、三重県知事・一見勝之氏、衆議院議員・鈴木英敬氏、伊勢市長・鈴木健一氏に話を聞いた。

◆国土交通省砂防政策最前線
複合災害を踏まえた土砂災害対策・砂防政策の在り方
国土交通省水管理・国土保全局砂防部長 草野 愼一
激甚化・頻発化する自然災害。昨年は全国で1433 件の土砂災害が発生したが、そのうち約半分の702件が石川県で発生していることから「令和6年能登半島地震」と「令和6年9月能登半島豪雨」の影響がいかに大きかったかが分かる。連続する自然災害、いわゆる「複合災害」への対応・対策の重要性が再認識される中、砂防政策の観点からみた土砂災害対策の現状について国土交通省砂防部の草野部長に話を聞いた。

◆国土交通省物流・自動車政策最前線
・日本の強みを生かし、自動運転の実現を推進
 国土交通省物流・自動車局技術・環境政策課長 猪俣 博之
・モビリティの可能性、自動運転実現に向けた現状
 日産自動車株式会社 執行職 総合研究所所長 土井 三浩
自動運転実現に向けた動きが加速し、2024年12月から、愛媛県松山市で伊予鉄バスが全国初となるレベル4(特定条件下における完全自動運転)を開始させた。また、25年4月末には、ロボットタクシーなどの無人運転技術を有する米国・グーグル系のウェイモ(Waymo)がトヨタ自動車と戦略的パートナーシップを発表。これまで日本では、この領域はスタートアップが中心に技術開発が進められてきたが、21年から日産自動車が本格的に乗り出し、自動運転を使った新たなモビリティサービスをめぐる動きがにわかに激しくなってきた。そこで、時評では、国土交通省物流・自動車局技術・環境政策課の猪股博之課長に自動運転をめぐるわが国の政策と潮流、日産自動車株式会社土井三浩執行職/ 総合研究所所長に自動運転をめぐる戦略と展望について詳しい話を聞いた。

◆国土交通省ITS政策最前線
・次世代ITS社会実装フェーズへ
 国土交通省道路局道路交通管理課高度道路交通システム推進室長 竹下 正一
・レベル4自動運転トラックの実現に向けて
 株式会社T2 代表取締役CEO 森本 成城
自動運転の普及には、車両単体の技術だけでなく、インフラとの連携による安全性と実効性を高めるための仕組みづくりが不可欠だ。こうした課題に答えるため、国土交通省は2023年3月「次世代ITS検討会」を設置し、24年6月「自動運転インフラ検討会」を、総務省、警察庁と共同で設置、次世代ITS や自動運転の社会実装に向けた議論を本格化、実証実験を進めている。一方で民間においても幹線道路における自動運転トラックの走行実験など先進的な取り組みが進む。交通事故の削減や物流の効率化といった社会課題の解決に向けて、現在何が進展し、何が求められているのか――。道路交通管理課高度道路交通システム推進室竹下正一氏、民間から株式会社T2 代表取締役CEO 森本成城氏から話を聞いた。

◆本誌が独断で選ぶ2025夏の霞が関人事予測
 内閣府/総務省/法務省/外務省/財務省/文部科学省/厚生労働省/農林水産省/
 経済産業省/国土交通省/環境省/防衛省
 2025年、国際社会は第2期トランプ政権が繰り出す一手に、日々対応を迫られている。わが国の経済・社会・国民生活に深刻な影響を及ぼしかねない状況下、解決に向けてこれまで以上に政治のリーダーシップと、官僚の知見との融合が求められる。各府省のかじを取る幹部は今夏、どのような顔ぶれとなってこの難局に対峙するのか。恒例の霞が関人事予測をお届けする。