お問い合わせはこちら

時評2025年7月号Monthly Jihyo 2025.07

◆内閣官房・内閣府健康・医療戦略最前線
創薬力の強化と健康・医療戦略
内閣官房・内閣府健康・医療戦略推進事務局長 中石 斉孝

超高齢化が進むわが国において、健康と医療のありようは、経済・社会、そして個人にとっても最大の関心事の一つであろう。特に新型コロナウイルス感染拡大時には日本の緊急医療の脆弱性が明らかとなり、また経済安全保障の観点からも創薬力の強靭化が強く指摘されている。これらの課題解決に向けてどのような方向性を目指しているのか、中石斉孝局長に「第3期健康・医療戦略」を中心に、幅広く解説してもらった。

◆内閣府知的財産戦略最前線
知的財産戦略
内閣府知的財産戦略推進事務局長 奈須野 太
知的財産戦略は、今や、国家の経済成長を推進するエンジンであるとともに、経済安全保障の中核として改めてその重要性が認識されている。AIの急速な進展など国際環境が変化する中で、知財戦略は今後の経済活動を大きく左右すると言っても過言ではない。他方で、コンテンツ産業は今や日本の基幹産業にまで発展した。こうした最新動向を踏まえ、わが国の知財戦略の方向性を奈須野太事務局長に解説してもらった。

◆資源エネルギー庁第7次エネルギー基本計画最前線
第7次エネルギー基本計画について
資源エネルギー庁長官 村瀬 佳史
本年2月、「エネ基」ことエネルギー基本計画が閣議決定された。エネルギー基本計画は、少なくとも3年ごとに見直しの検討を行うこととされており、今回の計画では、電力需要増加が見込まれる中、脱炭素と安定供給の両立という、極めて困難かつ高次な目標を掲げているのが特色だ。今回はエネルギー政策の第一人者である村瀬長官に、第7次エネ基の概要、そして計画を取り巻く国際環境まで幅広く解説してもらった。

◆シリーズ「わが国の優秀な人材育成のために、今大学に求められること」~大型座談会
国際卓越研究大学を起点に、基礎研究力向上・「国際頭脳循環」強化へ
内閣府特命担当大臣(科学技術政策) 城内 実/東北大学総長 冨永 悌二/
スタンフォード大学循環器科主任研究員 池野 文昭
石破茂首相は、米国政府の政策転換により、米国内での研究活動に懸念が生じていることなどを受け、世界中から優秀な研究者を呼び込み「国際頭脳循環」を強化するための方策を早急に検討することを表明した。これを受け、国際卓越研究大学第1号に認定された東北大学は、今後5年間で300億円を投じ、約500人を採用していく方針を決定。国内若手研究者ら、人に積極的に投資し、わが国基礎研究力向上に結び付けていく考えだ。時評では、シリーズ「わが国の優秀な人材育成のために、今大学に求められること」を新たに企画し、内閣府特命担当(科学技術政策)城内実大臣、東北大学冨永悌二総長を迎え、スタンフォード大学池野文昭循環器科主任研究員を進行役に大型座談会を実施。国際卓越研究大学を起点にした人的資本戦略を模索していくことにした。

◆経済産業省産業構造政策最前線
産業構造政策における直下の状況と今後の課題
経済産業省経済産業政策局産業構造課長 梶 直弘
国内外の不確実性が増す現在、生産性向上という命題に向けた産業構造の高度化、集中、調整等が求められる。特に今般の少子化人口減、およびGX時代における産業構造は既存の社会・経済の実相に大きな変革を迫るものであり、それ故に経済産業省がかじを取る産業構造政策に高い関心が寄せられている。「ここ数年の動きを継続すれば必ず明るい未来が来る」と語る梶産業構造課長に、現状と今後の課題、見通しについて解説してもらった。

◆経済産業省ガス安全政策最前線
・2030年に向けたガス保安政策
経済産業省産業保安・安全グループガス安全室長 石津さおり
近年、自然災害の激甚化や新たなエネルギー技術の進展を背景に、ガス保安を取り巻く環境は大きく変化している。経済産業省では、「ガス安全高度化計画2030」「液化石油ガス安全高度化計画2030」を軸に、技術進化や災害対応の強化に取り組んでいる。今回は、同省 産業保安・安全グループガス安全室の石津室長にこれらの取り組みの概要と進捗、そして今後の方向性について聞いた。

・「啐啄同時」の精神と安全最優先の徹底
未来塾代表世話人 山田 豊
「啐啄同時(そったくどうじ)」とは、師匠と弟子の呼吸が一致するときに悟りが得られるという禅宗のことばである。人づくりの要諦、極意を示している。この言葉を通じて、大谷翔平活躍の源流・原点を探るとともに、安全最優先の徹底を目指す企業経営の在り方にも通ずるものを検証してみたい。

◆防災推進政策最前線
防災DXと「皆で共に創る防災立国」
国立研究開発法人防災科学技術研究所社会防災研究領域長 臼田裕一郎
近年、自然災害が激甚化・頻発化している。しかし、人口減少に伴うリソース不足などもあって、これまでと同じような災害対策では対処が難しい状況になっている。昨年「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるなど高い確率で発生が予測されている巨大地震災害、そして気候変動の影響により規模や頻度が拡大している極端気象災害への対策として、「防災DX」が高い関心を集めている。今回、デジタル技術を活用して災害対応の効率化と高度化を図る「防災DX」の概要と具体的な取り組みについて、そして2026 年度の設立を目指す「防災庁」の設立に向けた状況について、防災科学技術研究所社会防災研究領域長であり、また防災庁設置準備アドバイザー会議の構成員を務める臼田氏に話を聞いた。

◆地方版図柄入りナンバープレートフォーラムレポート
地方版図柄入りナンバープレートを活かしていくために
岡山県知事 伊原木隆太/熊本県知事 木村 敬/衆議院議員 逢沢 一郎/
国土交通省物流・自動車局次長 久保田秀暢/岡山商工会議所会頭・両備ホールディングス㈱ 取締役副会長 松田 久/(一社)日本自動車販売協会連合会岡山県支部支部長 中川 裕二/三菱自動車工業㈱水島製作所長 松村 真次/(一社)全国自動車標板協議会専務理事 岡安 雅幸/金沢美術工芸大学教授 寺井 剛敏

◆喜多村悦史先生の社会保障夏季集中講座 2025(上)
基礎年金の性格を明確にし、国民皆年金を確実なものにする
元内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官 喜多村悦史

◆時評レーダー
 深刻な人手不足など逆境の公共交通/伊予鉄グループのチャレンジ

◆TOPIC
 第27回板ガラスフォーラム「カーボンニュートラルの実現とSDGs社会への積極的貢献」
 開催/一般社団法人板硝子協会