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【レポート】第17回「IPCC写真倶楽部展」、銀座で開催

にぎわいを見せる会場。
にぎわいを見せる会場。

 一般財団法人工業所有権協力センター(IPCC=Industrial Property Cooperation Center:理事長・鈴木隆史氏)の写真同好の士からなる「IPCC写真倶楽部」が、東京銀座のギャラリー「ギャラリーアートグラフ(写真弘社フォトアート銀座内)にて、1月24日~1月30日にかけて開催された。
 先行技術の調査業務をはじめ、特許出願などへの分類付与の指定踏査機関(後に登録調査機関に移行)に指定されるなど、わが国の先端技術の発展と保護に貢献してきたIPCCの有志によって結成された写真クラブが開催する写真展。メンバーが、1年間の活動で撮影した写真のうち、最も優れた1点を出品するという趣向で毎年行われている。現在、会を指導している写真家・福田健太郎氏の講評を受け、厳選された作品が並ぶ展覧会だ。
 17回目を数える今回も、『「思いのまま」〝身近な風景から〟』というテーマで撮影した作品32点が展示された。
 IPCC理事長として写真倶楽部の会長を務めた前・一般財団法人商工会館理事長の岡松壯三郎氏は、新宿御苑の桜木を中心に、若い女性が語らう一瞬を切り取った1枚を出展した。「桜の写真を撮っていた時に、たまたま二人の女性が画角に入っていらっしゃった。女性の春らしい服装が桜の花とぴったりだった」と岡松氏。あたたかな陽光のもと、満開の桜の華やかさに目を奪われるのとともに、若い女性たちの鈴を転がすような笑い声も聞こえてくるような印象的な作品となった。
 他にも、ベトナムの素朴な木製の橋を渡ろうとするアオザイ姿の女性がまぶしい「清風」(藤野治雄氏)、森林の中の滝と差し込む光が織りなす三角形を写し取った「森のトライアングル」(井上武夫氏)、暗闇の中、樹液をすすりにやってきたガの一種シロシタバを捉えた「真夜中のレストラン(シロシタバ)」(澤崎 隆氏)、暮れなずむ海沿いの漁船を情感たっぷりに切り取った「漁船の風景」(伊藤彰英氏)など会員らが年に2~3回開催している撮影旅行などで写した一瞬の風景を捉えた作品が出展された。季節感と叙情にあふれた表現が、来場者の心を捉えていた。
(月刊『時評』2020年3月号掲載)