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国土交通省/下水道政策最前線

下水道政策における新たな展開 ―官民連携にB-DASH プロジェクト、さらに国際展開の現状について―

国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道企画課長 梶原 輝昭氏
国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道企画課長 梶原 輝昭氏

 社会生活を営む上で必要不可欠なライフラインでもある下水道。しかし人口減少に伴う厳しい経営環境、執行体制の脆弱化、下水道施設の老朽化など幾つかの課題を抱えている。そうした下水道を取り巻く現状と課題、課題解決に向けた官民連携(PPP/PFI)や下水道革新的技術実証事業(B-DASH プロジェクト)の概要と具体的な取り組み、さらには下水道インフラの国際展開などについて下水道企画課の梶原課長に話を聞いた。

下水道を取り巻く現状

――下水道はわれわれが社会生活を営む上で必要不可欠なインフラの一つともいえます。改めて、わが国の下水道を取り巻く現状と課題、そして国土交通省下水道部の進める施策についてお聞かせください。
梶原 下水道は、安全・安心な暮らしと健全な社会経済活動に不可欠なインフラですので、われわれ国土交通省下水道部ではその整備と普及に国・地方を挙げて取り組んできました。現在、全国の下水道、農業集落排水施設や浄化槽などの汚水処理施設の普及状況を総人口に対する割合で表した汚水処理人口普及率は9割に達しています。しかし下水道事業は、人口減少や施設の老朽化といった問題に直面していますので、ストックの維持と事業の継続性の確保・向上、そして汚水処理人口普及率の残りの1割、つまりは未普及への対策といった両面に取り組んでいくことが喫緊の課題になっています。
 またソフト・ハード両面からの都市浸水対策をはじめ、オリンピックに絡んで話題にもなりました東京都の下水道、いわゆる合流式下水道の改善や閉鎖性水域の水質の高度化を図るための高度処理といった水質改善の対策。地震への備えとしての強靱な下水道システムに向けた耐震性、そして持続可能な開発目標(SDGs )に向けた取り組みをはじめ、〝省くと創る?といった省エネルギー、創エネルギー対策――など、今後も国全体や地域の抱える社会課題や状況に応じて下水道ストックの効果的・効率的な整備と活用を進めていく必要があると考えています。

――人口減少と施設の老朽化などを要因とした下水道事業における課題。課題解決に向けた施策としてはどういったものがあるのでしょうか。

梶原 人口が減るということは下水道を使用する人が減るということですので……(つづきはログイン後)

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