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「空の産業革命」の 実現に向けて/国土交通省 梅澤大輔氏

ドローンの3・5飛行制度の新設

――2022年にドローンのレベル4飛行が可能になったにもかかわらず、翌年にレベル3・5飛行が新設されています。では、このレベル3・5飛行制度とはどういった制度なのでしょうか。

梅澤 レベル3・5飛行制度については、23年10月に開催された第1回デジタル行財政改革会議において、岸田総理からドローンによる物資配送の事業化の加速についてご指示があり、国土交通省において集中的な検討を行って創設したものです。

 現時点において、ドローンによる物資配送の多くは、山間部や離島を中心にレベル3飛行によって行われています。先述の通り、レベル3飛行は無人地帯での目視外飛行であり、飛行経路下に第三者がいない状況を確保する必要があります。このため、道路を横断するなどの飛行については、飛行経路下に第三者が立ち入らないよう、補助者や看板を配置するなどの「立入管理措置」が必要とされ、これが大きなコスト負担になっているとの意見がありました。また、レベル3飛行においては、移動中の車両上空の飛行も認められておらず、交通量がある道路を横断する場合には、通行する車両の切れ目を待つために一時停止が必要となる場合もあったことから、これも効率的な運航を妨げているとの意見がありました。

 こうした意見を踏まえて創設したのがレベル3・5飛行です。レベル3・5飛行はレベル3飛行の一部という位置付けですが、操縦ライセンスの保有、保険への加入、機上カメラによる歩行者などの有無の確認を条件とすることで、補助者や看板の配置といった従来の立入管理措置を撤廃し、また移動中の車両上空の飛行も可能とすることにより、一時的な道路横断を容易にしています。

 このレベル3・5飛行を活用することで、ドローンによる物資配送の事業化に必要な運航コストの大幅な削減と運航効率の向上が可能となりました。

 なお、レベル3・5飛行の初の事例は23年12月に北海道の上士幌町で食品配送や新聞配送を行う形で実施されました。その際、車両通行中の道路の横断も飛行経路上に複数あり、従来のレベル3飛行であれば、10名以上の補助者が必要であったところ、レベル3・5飛行として補助者の配置ゼロを実現しています。

配送サービスをはじめとするドローン活用の実証と実装の現状

――確かに事業者の負担が軽減され、ドローン配送の推進が期待できます。ドローン活用については、これまでもさまざまな実証やサービスが展開されていますが、レベル3・5飛行制度の新設を受けて進められる実証やサービス、また物流以外の取り組みについてお聞かせください。

梅澤 レベル3・5飛行は、2023年12月に北海道上士幌町において初めて実施され、ドローンによる配送サービス事業に活用されています。それ以外に兵庫県豊岡市や山梨県北都留郡小菅村においても順次実施されており、今後、各地でレベル3・5飛行を活用したドローンの配送サービスが拡大していくことを期待しています。

 また配送サービス以外では、例えばドローンによる河川やダムなどのインフラ点検においてもレベル3・5飛行の活用が図られています。人手不足ということもありますが、高所や山間部など点検作業者が現地に行くのが困難であったり、危険であったりする場所や施設設備などもあり、そうした状況でのインフラ点検がレベル3・5飛行によって実施しやすくなることで、さらにドローンの活用の幅が広がるものと考えています。

 さらに1月に最大震度7を記録した令和6年能登半島地震においては、捜索救助のための航空法の特例を適用し、レベル3・5飛行に相当する飛行形態で、道路が不通となり自動車によるアクセスができなくなった高齢者施設に向けてドローンによる生活用品類の配送も行われました。

 このようにレベル3・5飛行は、物流だけではなく、災害対応やインフラ点検などにも活用されてきていますので、今後はより多くの分野で広く活用されていくことを期待しています。

――今後の活用に期待の高まるドローン。さまざまな分野での活用、その実現に向けた今後の展望、また施策実現に向けた意気込みや想いなどについてお聞かせください。

梅澤 ドローンについては、これまでもさまざまな分野での利活用が進んでおり、今後、人手不足など深刻な社会課題解決に向けては、さらなる利用拡大が一つの大きな要素になると考えています。

 このようなドローンへの大きな期待を背景に、デジタルライフライン全国総合整備実現会議においてドローン航路の整備について議論されるなど、各方面でドローンの利活用と事業化の拡大に向けた取り組みが行われています。航空局としても、小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会や無人航空機の事業化に向けたアドバイザリーボードなどの場を活用し、官民一体となってドローンの利活用や事業化の拡大に向けた検討を進めているところです。

 特にドローンは技術の進展が極めて速いことから、そうした技術進展の状況を的確にとらえ、タイムリーな制度整備を図っていくためには、実際にドローンの運用や開発に携わっている関係者との連携は非常に重要です。ドローン飛行の安全性の確保を前提としつつ、その利活用や事業化の一層の拡大が図れるよう、関係者とは緊密に連携を図っていきたいと考えています。

 わが国の航空法に「無人航空機」が登場したのは15年で、総理官邸の屋上にドローンが落下しているのが発見されたことがきっかけです。航空法では、飛行機やヘリコプターなど有人機については国際民間航空条約やその附属書に準じて体系化された制度が確立していますが、そうした有人機の考え方をそのままドローンに適用することが必ずしも適切とは限りません。そのため、ドローンを含む無人航空機の安全をしっかりと確保しつつ利活用の促進が図られるよう、有人機の制度を大いに参考にしつつも、さらに無人航空機の特性や利用の実態を十分に踏まえた的確な制度となるよう取り組んでいく必要があると感じています。

 そのため、関係者の「生の声」を常に伺いながら緊密に連携をとって、ドローンの制度整備と利活用の促進を進めていきたいと考えています。

――本日はありがとうございました。
                                              (月刊『時評』2024年4月号掲載)

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