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特集/ドローン利活用への道

利活用拡大への 大きな一歩となる、 登録制度の整備

内閣官房副政府CIO 神成 淳司氏
内閣官房副政府CIO 神成 淳司氏

2020 年6月の航空法改正によりドローンの登録制度が決定するなど、昨年はドローン利活用をめぐる環境整備において大きな進展のある一年だった。まだまだ議論し克服すべき課題は数多いものの、将来の広範な利活用と安全・安心の確保の両立が図られる基盤が構築されたといえよう。現在の状況と今後の展望について、神成淳司副政府CIOに語ってもらった。

登録記号の割り当てと発信

―――昨年は6月に改正航空法が可決し、2022年までに登録制度を開始する見通しが立つなど、ドローンの活用において大きな進展があったと言えるのではないでしょうか。

神成 各機体に対し国が登録記号を割り当て、機体に表示することが義務付けられました。また、飛行中も識別できるよう電波で登録記号等を発信する制度も設ける予定です。これは新規製造の機体はもちろん、既製の機体についても原則として同様です。

 とはいえ、こうした制度に対しどのような規格を定めるか、という議論が法律制定時点ではまだ決まっていませんでした。登録制度スタートまで移行期間や経過措置を設ける必要があるほか、制度スタート以前から存在している既製のドローンを何らかの形で改修する、あるいは機体に搭載可能な専用モジュールを開発せねばならず、それにはメーカーにおいて一定の時間が必要です。そのためにも法律改正が成った現在、早急に規格を定めていかねばなりません。当然、海外の動向も検証していく必要があるでしょう。

―――つまり、法施行を実態あるものにするために、まだ議論を詰めるべき点が多々あると。

神成 基本的には国際規格に準拠することを前提にしていますが、内部構成において偽装や情報漏洩を防ぐための暗号化機能を搭載するなどの点も含め、わが国の運用状況も踏まえた、適切な全体規格を考えることが求められます。

 また、電波形式も検討案件の一つです。加えて、通信の手順(プロトコル)やデータ項目について、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が研究開発を行っています。その実証の成果を踏まえて、規格の制定を進めていくことになります。

 登録制度は国土交通省が所管しますが、ドローンが発する電波は、今後さまざまな用途で活用されることが想定されます。どのように電波を受信し、活用されるのかを具体的に検討し、必要とされる仕組みも徐々に整備していきます。

―――今ご指摘いただいた点、いずれも難問のように思われますが22年までにクリアしていく必要があると。

神成 基本的には、22年までにクリアしていこうと考えています。既に……(続きはログイン後)

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