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デジタル庁デジタル改革政策最前線/デジタル庁統括官 二宮清治氏

デジタル庁のこれまでの取り組みと今後のデジタル改革

にのみや せいじ/昭和40年1月11日生まれ、愛媛県出身。東京大学経済学部卒業。63年郵政省入省、平成29年総務省大臣官房会計課長兼予算執行調査室長、30年大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官、令和元年大臣官房審議官(国際技術・サイバーセキュリティ担当)、2年内閣官房副長官補付内閣審議官兼内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室長代理、3年総務省総合通信基盤局長、4年6月より現職。
にのみや せいじ/昭和40年1月11日生まれ、愛媛県出身。東京大学経済学部卒業。63年郵政省入省、平成29年総務省大臣官房会計課長兼予算執行調査室長、30年大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官、令和元年大臣官房審議官(国際技術・サイバーセキュリティ担当)、2年内閣官房副長官補付内閣審議官兼内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室長代理、3年総務省総合通信基盤局長、4年6月より現職。

 2021年9月の発足から1年半、デジタル庁は官民協働によるデジタル社会形成に向けた司令塔としてデジタル化への基本戦略、取り組みを構成する三つの柱の推進等に日々邁進している。コロナ禍におけるデジタル面の課題が顕在化したのを機に、経済・社会の活性化、国民生活の向上にデジタル利活用の必要性が改めてクローズアップされた。今回、二宮統括官にここまでの実績とこれからの方向性について大局を示してもらった。


規制改革断行の突破口として

 2021(令和3)年9月1日にデジタル庁は発足しました。その経緯を振り返りますと、まさに新型コロナウイルスが拡大した時、それに伴いさまざまなデジタル課題が顕在化したことで、社会のデジタル実装の必要性が強く認識されました。10万円の定額給付や支援金におけるデジタル化の不徹底、接触確認アプリの不具合等の問題が表出したのは記憶に新しいところです。こうした課題に対応し、行政のタテ割りを打破して大胆に規制改革を断行するべく、その突破口としてデジタル庁の創設が掲げられ、その後の発足につながりました。

 デジタル庁は、デジタル社会の形成に関する司令塔であり、内閣直属の行政機関です。内閣総理大臣を長としてデジタル大臣、副大臣、政務官、デジタル監等が置かれています。これら幹部の下、「戦略・組織グループ」「デジタル社会共通機能グループ」「国民向けサービスグループ」「省庁業務サービスグループ」という、各省では局と言うべき四つのグループが並立し、各グループがそれぞれの事業責任を負う仕組みになっています。

 それに加えてデジタル庁には、民間からの専門人材が多数登用されているという特徴があります。全体職員約800名のうち約300名が民間出身の方が占め、タテ構造の組織にヨコ串を通す形でさまざまな知見を網の目のように組み込んでいただいています。また、デジタル庁の「官房」機能として経営企画会議が設けられており、デジタル庁の全体戦略/事業戦略や広報戦略を練るほか、各プロジェクトや人事、財務・調達の管理等の役割を担っています。私は現在、この経営企画室長も拝命しております。

 デジタル庁発足にあたっては〝誰一人取り残されないデジタル社会の構築〟という理念、〝オープンで透明なデジタル社会形成〟に向けた原則、行政サービスオンライン化の目標などを打ち立てており、これらを踏まえながら各種計画を推進しているところです。具体的には「デジタル社会の実現に向けた構造改革」「国際戦略の推進」「包括的データ戦略の推進」「Web3・0の推進」「デジタル田園都市国家構想の実現」「サイバーセキュリティ等の安全・安心の確保」「デジタル産業の育成」についてそれぞれ推進、実現を図ります。

取り組みの基本を成す三つの柱

 またデジタル庁の取り組みとして大きく三つの柱を示しています。すなわち「安全安心で強靱なデジタル基盤の実現」「生活者、事業者、職員にやさしい公共サービスの提供」「デジタル基盤の整備による成長戦略の推進」です。

 以下、これら三つの柱について順にご説明したいと思いますが、それに先立ち、「情報システム予算の一括計上と情報システム整備方針」について触れておきたいと思います。情報システム関係予算をデジタル庁に一括計上することで重複投資を排除し、デジタル庁で整備する共通基盤の利活用を前提としたシステムの統合・共通化等を推進していきます。こうすることで民間とシステム連携も容易になりますし、ユーザー視点で行政サービスの改革とシステム改革を進めることで国民や事業者の利益向上が見込まれると考えています。

 また、こうした統一的な管理運用に当たって、デジタル庁では「情報システムの整備及び管理の基本的な方針」をまとめており、以下の四つの領域に注力して課題を解決するとともに、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人、準公共分野等の関係機関・団体に協働を働き掛けていきます。

 まず一つ目の領域「標準の策定・推進」においては、サービスデザイン、つまりユーザーにとっていかに使い勝手が良く統一感あるサービスを受けられるか、という点に焦点を当てて改善を図ります。二つ目が「共通機能の整備・展開」です。基礎的なデータの利用可能性を高めるための整備です。三つ目「体制強化」、四つ目「ガバナンス手法の見直し」、と続きます。

ガバメントクラウドの整備・活用

 では前述した三つの柱に戻り、順に検証していきましょう。

 一つ目の柱「安全安心で強靱なデジタル基盤の実現」について、この中核に当たるのがガバメントクラウドです。従来、行政機関は独自にシステムを構築し、それに基づき運用・保守を行ってきました。しかしそれでは行政機関によって、提供するサービスの利便性、柔軟性、安全性、スピードにばらつきが生じるという課題がありました。そこで今般デジタル庁においては、ガバメントクラウドを整備し活用してもらうべく、共通的な部分は共通的に、自ら構築する部分は自ら作っていただく、という方向へ役割分担しながら進めていきます。2022年度では民間4社のクラウドサービスがガバメントクラウドとして提供されています。現在は各自治体のガバメントクラウドへの移行に伴う課題の検証や、マイナンバーカードの電子証明書機能のスマートフォンへの搭載実現に向けた検証などを行っているところです。総じて2022年度は本格利用の前、準備段階であったと言って良いでしょう。今後は、各府省の情報システムについては原則としてガバメントクラウドに移行、地方自治体は2025年までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムへ移行を図ります。

 このガバメントクラウドが目指す目標がさらに三つあります。まず「質の高いクラウドの提供」。クラウドの利点を最大限に活用して迅速、柔軟、セキュアかつコスト効率の高いシステムを構築します。次いで「負担軽減」。従来は国、地方ともにサーバーの設置や運用等の手間がかかっていたため、これらの負担を軽減するよう共通的な部分は極力ガバメントクラウドを利用してもらいたいと考えています。これら共通的な基盤や機能を活用することでアプリケーションの競争環境が確立され、従来から弊害が指摘されてきたベンダーロックインの回避にもつながるのではないかと考えています。最後が「どこでも便利なサービス」です。

 では、その目標実現のために必要なことは何か。これもポイントは三つあります。まずは「質の高いクラウドの調達」。毎年調達仕様書の検証・見直しを実施し、従量課金や透明性の高い価格設定、仕様の公開等を通じてコスト効率を確保します。次いで「BPR(業務見直し)実施・支援」です。これは単に現行のシステムをクラウドに移行するにとどめるのではなく、ガバメントクラウドが提供するメリットを最大限享受できるように取り組むことが非常に重要です。最後が「共通で利用できる機能の活用」です。標準管理ツールや標準テンプレートなど、クラウドのさまざまな機能を使って、構築・運用・保守の一貫した効率化・自動化等が可能となります。