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2021【浜松ウエルネスフォーラム】レポート

「予防・健幸都市 浜松」実現に向けて

 2021年3月17日、浜松市と株式会社時評社は、「浜松ウエルネスフォーラム2021・予防健幸都市 浜松を目指して」を同市内の「グランドホテル浜松」(浜松市中区東伊場1-3-1)とオンラインで開催した。当日、新型コロナウイルス感染予防のため東京都など首都圏は、2回目の緊急事態宣言下にあった(1月8日~3月21日)ため、会場入場者は静岡県内在住者に制限。密を避けるため、200人収容の部屋を入場者50人に限定し、首都圏など他県(米国・カリフォルニア州含む)の参加者は、講師を含め全てオンラインでの参加となった。

 今回のフォーラムは、厚生労働省保険局医療介護連携政策課長・山下護氏、経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課長・稲邑拓馬両氏による基調講演のほか、同市で実践されているウエルネスラボプロジェクト参加企業による実証実験報告など盛りだくさんのメニューで構成。なお、当日の様子は、「浜松ウエルネス・ラボ」公式HP(hamamatsuwellnesslab.jp)でも視聴できる。

 “予防健幸都市”という新たな都市像を提唱し、全国でも注目を集める浜松市のフォーラムだけあって、50人の会場入場者に加え240人を超えるオンライン参加者が集まった。

(本フォーラムレポートは時評社のまとめです。なお講演内容や講師の役職については、フォーラム開催時のものになります)

浜松ウエルネスフォーラム2021のポイント

  1. 浜松市は、人生100年時代を見据え、「予防・健幸都市」という新たな都市像を実現していくため、新たに「浜松ウエルネスプロジェクト」を立ち上げた。「浜松ウエルネスプロジェクト」の推進体制として、「浜松ウエルネス推進協議会」(地域の推進機関・現在117の企業、団体が参加)と「浜松ウエルネス・ラボ」(地域外企業7社、浜松医科大学、聖隷福祉事業団などが参加)の二つの官民連携プラットフォ―ムをエンジンに市民の健康寿命延伸を推進していく。

  2. マイナンバーカードによる健康保険証利用は、自分の健康・医療の情報を医療機関と共有されることによって、医師や薬剤師などプロに伝わる仕組みで、診療内容や問診の質向上に役立つ。さまざまなプラットフォ―ムと組み合わせることによって、最終的に市民に有益なアドバイスができるアプリケーションを提供するなど、さまざまな可能性が広がる。

  3. 自分の健康をどう生かしていけるかという点で、経済産業省・厚生労働省・総務省はPHR利用に関する新たなルールを作っている。ルールをクリアした事業者のみが公的なPHRを利用できる。また、健康経営が、ここ数年でかなり浸透しており、特に地方では、地方自治体が健康経営を行う企業を表彰する動きも広がっている。

  4. 「浜松ウエルネス・ラボ」では、2021年度から参加企業が実証事業で蓄積したデータや行政が公開しているさまざまなデータを収集して分析をするデータプラットフォ―ムを構築、実装していく。

  5. 浜松市は、男女ともに全国の政令指定市のうち健康寿命がトップを誇る。そこで、「浜松ウエルネスプロジェクト」の一環として、その要因を解明しさらに延伸させていくための共同研究「健康ビッグデータによる分析」を、浜松医大・静岡大学・聖隷福祉事業団・浜松市の四者で行うことになった。

  6. 「浜松ウエルネスプロジェクト」の素晴らしい点は、浜松市が実行部隊として、大学・病院・民間企業とともに汗をかき、プロジェクト自体を動かしている点にある。また、「浜松ウエルネス・ラボ」の実証事業において、期待すべき点は「予防の見える化・可視化」にあると言え、恐らく今後はこうしたモデルが増えていくと予想される。

主催:株式会社 時評社/後援:経済産業省、厚生労働省

講演要旨

浜松市長 鈴木康友
浜松市長 鈴木康友

開会あいさつ


新型コロナウイルスの感染症がまだ終息を見ない中、「浜松ウエルネスフオーラム2021」に会場とオンラインで多くの皆様にご参加いただき、厚く御礼申し上げたい。
ご案内の通り、日本は人生100年時代を迎えると言われている。実際に、寿命が伸びてくると、やはりどれだけ健康で長生きできるかという健康寿命が大変重要になってくる。厚生労働科学研究班が3年に1度、大都市別の健康寿命の調査をしているが、おかげさまで浜松市は2010年、13年、16年と3期連続で男女とも1位だった。
そこで、本市は市民の皆様の健康寿命をさらに延伸させて、市民がいつまでも健康で幸せに暮らすことのできる「予防・健幸都市」を目指そうということで、「浜松ウエルネスプロジェクト」を立ち上げた。同プロジェクトは、「浜松ウエルネス推進協議会」と「浜松ウエルネス・ラボ」という二つの官民連携プラットフオームから構成され、この二つのプラットフォームには、多くの医療機関や関係者の皆様、大学あるいは市内外の企業の皆さんに参加いただき、さまざまなプロジェクトが進められている。今回はそうしたさまざまなプロジェクトの進捗状況や成果を発表していただくということが中心になるが、それに先立ち、厚生労働省医療介護連携政策課の山下課長と経済産業省商務・サービスグループヘルスケア産業課の稲邑課長に基調講演をいただくことになっている。年度末の大変お忙しい中、両課長にはご出席を賜り厚く御礼申し上げたい。
このような今回のフォーラムが、参加された皆さまにとって大変有意義な場となることを心から期待申し上げたい。
最後に、浜松ウエルネスプロジェクトの進化と発展を心から祈念し、冒頭に当たってのご挨拶とさせていただく。

浜松市健康増進課副参事 鈴木久仁厚
浜松市健康増進課副参事 鈴木久仁厚



「浜松ウエルネスプロジェクト」の全体像について


「浜松ウエルネス・ラボ」の活動報告の前に、「浜松ウエルネスプロジェクト」の全体像について、補足説明しておきたい。
「浜松ウエルネスプロジェクト」は、健康寿命第一位などの本市の強みを一層磨き上げて、人生100年時代を見据え掲げた「予防・健幸都市」という新たな都市像を実現させて行くための官民連携プロジェクトであり、今年度からスタートした。本プロジェクトのターゲットは、医療の手前の予防や未病、ウエルネスの領域で、官民が連携して、市民のための健康づくり、疾病・介護予防などさまざまな事業を実施している。
「浜松ウエルネスプロジェクト」の推進体制として、「浜松ウエルネス推進協議会」と「浜松ウエルネス・ラボ」という二つの官民連携プラットフォームを設置している。両プラットフォームをエンジンに市民の皆さんの健康寿命の延伸と生活の質の向上を図り、「予防・健幸都市」を実現していくというのが、本プロジェクトの目指すゴールとなる。
「浜松ウエルネスプロジェクト」は、市民の皆さんに対する予防・健康事業とヘルスケアサービス・ビジネスの支援事業を二本柱に掲げている。
「浜松ウエルネス推進協議会」は、ウエルネスプロジェクトの地域の推進組織として、地元の医療機関や大学、関連団体、企業など117社・団体が参加し、官民連携によるヘルスケア事業や健康経営の推進、ウエルネス・ヘルスケアサービスの創出などの事業を進めている。
一方、「浜松ウエルネス・ラボ」には、地域外の企業7社と浜松医科大学、聖隷福祉事業団、浜松医療公社、浜松市が参加し、生活習慣病予防や認知機能の改善などに関わる官民連携社会実証事業などを通じて、データやエビデンスの取得・蓄積などを行っている。
浜松市では、こうしたプロジェクトの実施体制として、医療担当部長を責任者に、健康福祉部と産業部の二部五課によるプロジェクトチームを設置し、部局横断で取り組んでいる。