
2026/05/08
――関東経済産業局では、毎年のように新たな方策を打ち出していますが、今般の主要施策やそのポイントなどはいかがでしょうか。
岩田 高市政権は〝強い経済〟を掲げ、それを地方地域で展開する「地域未来戦略」を打ち出しています。必然として関東経済産業局においても、その実現に資する施策の展開が求められます。
例えば賃上げを実行できるような価格転嫁の推進、これについては本年1月より業務委託先の中小企業との価格交渉を義務付ける〝取適法〟こと「中小受託取引適正化法」が施行されましたので、これをしっかり適用していきます。やはり行政の本分は、法律の執行とその実施に必要な予算の執行というこの両面の執行にありますから、この価格転嫁の推進は、まさに経産局がやるべき業務です。
ただ関東経済産業局としては、これまで継続して取り組んでいる伴走支援をはじめ、地域経済発展に向けていろいろなアイデアを出し、関係機関の間を奔走して実行してきました。職員個々にはそうした関東経済産業局の理念、いわばDNAが浸透していると感じました。私は局長の立場として、職員の努力が実を結ぶよう、そうした活動を広く発信し、事業者各位に内容を理解してもらうことが大きな仕事だと認識しています。
――それらの活動のうち、直近のトピックスとしては。
岩田 大きく羽ばたいたという意味では〝100億宣言〟ですね。自ら「売上高100億円」を目指す、という野心的な目標を掲げ、実現に向けて努力する中小企業の成長を後押しする取り組みですが、これは中小企業庁の大きな事業にもなっています。個人的にも、あえて高い目標を立ててもらい、その実現プロセスに対し政策的支援を講じて、当該企業の伸長を図ることにより他の事業者にも前向きな意欲を惹起する、これは大変面白い、有意義な政策だと思います。
要は、中堅・中小企業における〝稼ぐ力〟の具体的な発揮を目指す、それがとにかく大事です。しかも単発的な補助金に頼るのではなく、経営者が会社を成長させ地域経済に貢献していくという強い思いを形にしていく、その意欲に尽きるでしょう。私たちは、そうした企業が有する価値を可視化させ、世に出すことを支援し、以て地域経済の活性化につなげていきたいと考えています。
地域金融と商工会議所の意義、役割
――地域経済活性化における地域金融の役割については、いかがお考えでしょう。
岩田 いわゆる〝産学官金〟こと、金融も含めた緊密な連携は不可欠です。現在、管内計156の金融機関のうち、68%にあたる106の金融機関と連携しています。(注:令和7年3月末時点)
関東経済産業局において従前から策定している「金融連携プログラム」の2025年版を昨年6月に公表しており、DXやGXなどの金融機関主催のセミナーに対して関東経済産業局から講師を派遣するほか、人材面では「新現役交流会」を実施しています。これは大企業で経験を積んだOB、OGの方と、スキル豊かな人材を望む中小企業とのマッチングを、金融機関と連携して行う取り組みです。このように、地域金融機関と連携すれば、これまで私たちだけでは実施できなかった事業や新たなサービスを提供する余地が多々生じると考えています。実際に当局内にも地銀・信金の方々に出向いただき業務を共にするなど、人材交流も盛んに行っているところです。
逆に金融機関サイドでも、事業価値を評価して融資するという取り組みを進めており、私たちとしてもそうした価値に基づく融資がより円滑に進むよう、協力していくつもりです。
――他に期待する関係機関などは。
岩田 前述しました通り、やはり商工会議所や商工会ですね。実際に企業の方々の元に、私たち関東経済産業局の考えを届けたり、逆に企業からのお悩みを直接聞き取るなど、実情を最も理解しているのは商工会議所や商工会をはじめとする支援機関ですので、彼らの機能をさらに強化して、事業者から信頼される支援機関でいていただき続けることが極めて重要です。
――悩みや相談を受け付ける機能としても商工会議所は期待されていますね。
岩田 はい、金融機関に対する事業者からの相談は、資金面が主だと思いますが、商工会議所や商工会に寄せられる問い合わせはほぼ全方位的ですし、受け付けてもらえる範囲が幅広である、という事業者の声をよく聞きます。実際に各商工会議所や商工会には経営指導員の方がおりますので、中小企業基盤整備機構と連携してOJTでスキルを身につけられるような活動もしています。
世の中の変化が激しい中、商工会議所や商工会は地域にとってますます重要な位置付けになっていますので、刻々と変化する企業側のニーズに応えられる組織に、今後もあり続けることが期待されます。
その活動を支援することも私たちの仕事であり、それが結果として私たち関東経済産業局自体の足腰の強化にもつながります。逆に私たちの足腰が弱体化すると、経済産業省の弱体化に直結するので、常に強化を図らねばと思っています。
2027年国際園芸博への期待
――来年3月19日より、横浜・上瀬谷地区で2027年国際園芸博覧会が開催されます。これに関するご所感や期待などお願いします。
岩田 ご指摘の通り、日本では1990年に大阪で開催された国際花と緑の博覧会以来、37年ぶりのA1(最上位)クラスの博覧会であり、政府全体の取り組みとして各関係者の期待も非常に大きいと想定されます。
特に当局管内においては85年の〝つくば科学万博〟こと現在の茨城県つくば市で開かれた国際科学技術博覧会以来、長期にわたって万博の開催がありませんでした。そのため皆で力を合わせ、何としても成功させねばなりません。
私個人としては昨年開催された大阪・関西万博に長く関わり、その経験で申しますと、やはり観光や飲食はもちろん、それを含めて大規模な祭典の開催による地元地域の盛り上がりは大変なものがありました。万博の具体的な成果の検証に関しては経産省本省が成果検証委員会を設置して検討を行っていますが、今回の園芸博も有形無形のプラス効果が表れると確信しています。私自身もマスコットキャラクター「トゥンクトゥンク」のピンバッジを付けたり名刺にプリントするなど、日々広報に努めています、〝まずは行ってみましょう!〟と。今後、広くご協力を呼び掛けていくことになるでしょう。
――園芸博開催に向けては、局長がこれまで大阪・関西万博で成功に向けて活躍されてきた実績やご経験が強みになりますね。
岩田 大阪・関西万博の開催にあたって霞が関各省庁から多数の出向やサポートをいただくなど、私個人としても霞が関全体には大変お世話になりました。その恩返しのためにも今度は、園芸博の成功に向けて尽力する所存です。
――本日はありがとうございました。
(月刊『時評』2026年4月号掲載)