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令和8年度(2026年度)、国土交通省の基本戦略/国土交通省 小熊 弘明氏

令和8年度、国土交通省の進める基本戦略 ――その3本柱について

 社会資本整備については、力強い経済成長を実現するための基盤であり、国民生活や地域社会を支える大変重要な役割も担っています。本年1月に閣議決定された第6次社会資本整備重点計画に基づき、安定的・持続的な公共投資の下で、将来の成長基盤となるストック効果の高い事業を戦略的・計画的に推進していきます。高規格道路、整備新幹線、リニア中央新幹線、港湾などの基幹的な交通体系の整備などに着実に取り組み、成田空港については、国際競争力の強化、インバウンドの受け入れ、国際物流ネットワーク構築の観点から、さらなる機能強化を着実に進め、年間発着容量50万回の早期実現を図っていきます。また、「地域未来戦略」に関連して、半導体などの戦略分野の国家プロジェクトの推進や地域の産業立地促進に必要なインフラの整備を、関係省庁とも連携し、企業や地域のニーズを総合的に勘案しながら、迅速かつ集中的に推進していきます。

 建設業については、国民生活や社会経済を支え、災害時には応急復旧の最前線を担う「地域の守り手」として重要な役割を担っています。将来にわたって建設業が持続可能であるためには、現場を担う技能者の賃金が、優れた技能や厳しい労働環境にふさわしい水準に引き上げられることが重要です。このため、昨年12月に全面施行を迎えた改正建設業法に基づき、中央建設業審議会から勧告された「労務費に関する基準」も踏まえ、技能者の処遇改善に向け、請負契約における適正な労務費の確保と、適正な賃金支払い推進に向けた施策を進めていきます。

 物流については、担い手不足が深刻化する中で、必要な機能を維持していくため、生産性向上や取引環境の適正化に向けた取り組みが不可欠です。昨年4月に施行された「改正物流法」に基づき、効率化や多重取引構造の是正に資する制度を着実に実施し、本年1月の中小受託取引適正化法(「取適法」)の施行を契機に、公正取引委員会や中小企業庁との連携も強化していきます。あわせて、事業許可の更新制や適正原価制度の導入などを内容とする「トラック適正化二法」の2028年からの施行に向けた準備を着実に進め、トラック・物流Gメンによる是正指導や中継輸送の推進などの取り組みの強化を図り、これらを盛り込んだ次期「総合物流施策大綱」を策定していきます。

 このほか、国土交通分野におけるGX、DXなどの取り組みについても、着実に進めていきます。

――「③個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり」についてお聞かせください。

小熊 地域に暮らす方々が豊かさを実感でき、将来に希望を持てる日本を実現するための取り組みを進めていきます。

 まず、観光について、訪日需要や航空便の回復などでインバウンドの人数・消費は好調ですが、一部地域・時間帯における混雑やマナーをめぐる懸念にも向き合わねばなりません。策定準備を進めている次期観光立国推進基本計画では、インバウンドの受け入れと住民生活の質の確保との両立、国内交流・アウトバウンドの拡大、観光地・観光産業の強靱化という三つの柱で、2030年訪日6000万人・消費15兆円の政府目標の達成に向け、官民一体で取り組みます。あわせて、国際観光旅客税の拡充を観光施策の充実・強化に資する財源として、効果的な活用を図っていきます。

 地域公共交通は地域の繁栄の礎であり、「交通空白」はあらゆる地域における待ったなしの課題です。「『交通空白』解消に向けた取組方針2025」を踏まえ、25年~27年度の集中対策期間に、全国約2500の交通空白の解消を強力に推進していきます。

 国土形成計画では、「新時代に地域力をつなぐ国土」を掲げ、「シームレスな拠点連結型国土」の構築により、地域の魅力を高め、地方への人の流れの創出・拡大を図ることとしています。二地域居住などの促進や地域生活圏の形成をはじめ、計画が描く将来ビジョンを国民全体で共有し、関係省庁とも緊密に連携しながら推進していきます。

 これらに加え、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりや都市再生、自転車の活用の推進や安心して暮らせる住まいの確保などにも、注力していきます。

――3本柱以外に注力している施策・取り組み、触れておきたいテーマなどございましたら、お聞かせください。

小熊 先ほども申し上げましたが、インフラ老朽化対策の加速化をはじめとした防災・減災、国土強靱化のための取り組みの推進や、地方を含めた交通網・物流インフラ整備については、特に力を入れて取り組んでいるところです。

 本年1月16日には、第6次社会資本整備重点計画および第3次交通政策基本計画が閣議決定され、国土交通省が発足25周年という節目を迎える中で「人口減少という危機を好機に変える」という共通のゴールを掲げるなど、両計画を一体的に策定いたしました。社会資本整備重点計画では、生活サービスの維持に必要な集積と移動の足が確保された地域づくりや、インフラ老朽化対策の充実・強化、インフラを支える担い手の確保・育成などに取り組むこととしています。また、交通政策基本計画では、「交通空白」の解消に向けた新たな制度的枠組みの構築、国際競争力の向上や経済安全保障の観点からの交通インフラ整備、本格的な自動運転社会の早期実現などに取り組むこととしています。この両計画を国土交通省の今後の礎として、施策を着実に推進することにより、地域の生活・なりわいを支えるとともに、力強い経済成長を実現していきたいと考えています。

 また、昨年11月に閣議決定された総合経済対策において、ガソリン・軽油の暫定税率廃止に伴う燃料油価格激変緩和対策補助金の終了により影響を受ける方々への支援として、「重点支援地方交付金」が措置されましたが、国土交通省としても、同交付金の推奨事業として挙げられた交通・物流に対する支援などを、地方公共団体に働きかけていきます。

 このほか、本年1月に、国土交通省出身の大沼俊之氏が、アジア大洋州地域初の国際民間航空機関(ICAO)理事会議長に就任しました。ICAOは国連の専門機関の一つで、航空の安全や国際的なルール形成において重要な役割を担っています。大沼氏率いるICAOとの協力関係を一層強化し、国際連携も深化させながら、民間航空の持続可能な発展にも貢献していきます。

 そして、来年3月には、GREEN×EXPO2027が神奈川県横浜市で開催されます。首都圏では42年ぶり、1都3県では初の万博であり、花や緑、食と農の魅力に加え、脱炭素など地球環境課題の解決に資する日本の技術や日本らしい文化、ライフスタイルを世界に発信することを目指しています。関係省庁や自治体、経済界、GREEN×EXPO協会などと緊密に連携し、オールジャパンの体制で、開催準備を進めていきます。

(資料:国土交通省)
(資料:国土交通省)

――災害対策から復興支援、社会資本整備に交通政策と、多くの施策を進める国土交通省。最後にこうした施策・取り組みの実現に向けた意気込みや思いをお聞かせください。

小熊 国土交通省は、国民の皆さまの命と暮らしを守り、経済や地域の生活・なりわいに直結する大変重要な分野を、陸・海・空にわたり所管しています。今後の施策や取り組みの実現に向け、地域の「現場」を第一に、地域の方々の「生の声」「本音の声」によく耳を傾け、国民の皆さまのニーズにしっかり応えながら、引き続き、全力で取り組んでいきたいと考えています。

――本日はありがとうございました。
                                            (月刊『時評』2026年3月号掲載)