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令和8年度(2026年度)、国土交通省の基本戦略/国土交通省 小熊 弘明氏

こくま ひろあき/昭和49年4月生まれ、東京都出身。東京大学法学部卒業。平成9年運輸省入省。21年外務省在スペイン日本国大使館一等書記官、24年国土交通省自動車局旅客課バス事業活性化調整官、27年海上保安庁総務部政務課企画官、28年大臣官房会計課企画官、30年総合政策局公共交通政策部参事官(総合交通)、令和元年観光庁参事官(観光人材政策担当)、2年航空局安全部安全企画課長、3年内閣官房小型無人機等対策推進室参事官、5年1月国土交通省自動車局貨物課長、6年総合政策局交通政策課長、令和7年7月より現職。
こくま ひろあき/昭和49年4月生まれ、東京都出身。東京大学法学部卒業。平成9年運輸省入省。21年外務省在スペイン日本国大使館一等書記官、24年国土交通省自動車局旅客課バス事業活性化調整官、27年海上保安庁総務部政務課企画官、28年大臣官房会計課企画官、30年総合政策局公共交通政策部参事官(総合交通)、令和元年観光庁参事官(観光人材政策担当)、2年航空局安全部安全企画課長、3年内閣官房小型無人機等対策推進室参事官、5年1月国土交通省自動車局貨物課長、6年総合政策局交通政策課長、令和7年7月より現職。

 国土の利用・開発・保全、社会資本の整備、交通政策の推進、気象業務、海上保安など、国民の生活基盤と経済活動を支えるインフラ整備や安全確保を担っている国土交通省。激甚化・頻発化している自然災害への対策、老朽化するインフラの整備、さらには造船業の再興からインバウンド対応に持続可能な国づくり――と喫緊で取り組まなければならない課題を多く抱えている。今回、改めて令和7年度(2025年度)の国土交通省の取り組みを振り返るとともに、令和8 年度の施策について国土交通省総合政策局政策課の小熊課長に話を聞いた。

総合政策局政策課長 小熊 弘明氏


令和7年度の施策と取り組み

――国土の総合的な利用・開発・保全、社会資本の整備、交通政策、観光立国推進、気象業務、海上保安など、国の基盤を支える行政を担っている国土交通省。本年度(令和7年度)はどういった施策・取り組みを進めてきたのでしょうか。

小熊 まず、能登半島地震や東日本大震災といった大規模な自然災害や、昨年1月の八潮市の道路陥没事故から得た教訓を踏まえ、防災・減災、国土強靱化を強力に推進してきました。加えて、輸送の安全対策、海上保安能力の強化などを通じて、国民の安全・安心の確保に努めてきました。

 また、「強い経済」を実現するため、わが国の成長力を高めるべく、戦略的な社会資本整備や地域間のネットワーク強化、さまざまな産業分野における担い手の確保、GX・DXの推進などに取り組んできたところです。

 あわせて、各地域がその特徴を生かしつつ、持続可能であり続けられるよう、地方への人の流れを拡大し、地域雇用や経済を拡大するとともに、公共交通など暮らしに必要なサービスの維持に努めてきました。

令和8年度、国土交通省の進める基本戦略 ――その3本柱について

――次年度(令和8年度)国土交通省の進める基本戦略はどういったものがあるのでしょうか。

小熊 令和8年度についても、「①国民の安全・安心の確保」、「②力強い経済成長の実現」、「③個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり」を、重点的に取り組む3本の柱として、関連施策に全力で取り組んでいきます。

――基本戦略の具体的な内容について、まず「①国民の安全・安心の確保」についてお聞かせください。

小熊 まず、能登半島における自然災害からの復旧・復興に取り組んでいきます。能登半島地震の発生から約2年2カ月、そして、復興中の奥能登を襲った豪雨から約1年5カ月が経ちました。震災や豪雨によって亡くなられた方々の御冥福を改めてお祈りいたします。被災地の賑わいと笑顔を一日も早く取り戻し、被災された方々の生活やなりわいの再建が叶うよう、国土交通省を挙げて、復旧・復興を加速化していきます。

 防災・減災、国土強靱化の取り組みは、自然災害から国民の生命・財産・暮らしを守り、ライフラインの強靱化などを通じて、力強い経済成長を実現するもので、危機管理投資の大きな柱でもあると考えています。「防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策」として取り組みを進め、一定の成果を積み上げてきました。一方で、自然災害が激甚化・頻発化し、また、老朽化したインフラの整備や保全が喫緊の課題となっています。こうした状況を踏まえ、昨年6月に閣議決定された「第1次国土強靱化実施中期計画」の初年度から切れ目なく進められるよう、昨年末に成立した令和7年度補正予算も活用し、国土強靱化の取り組みを全力で進めていきたいと考えています。

(資料:国土交通省)
(資料:国土交通省)

 また、高度経済成長期以降に集中整備されたわが国のインフラは、老朽施設の割合が加速度的に高まり、的確な維持管理や更新の重要性が増しています。施設に不具合が生じる前に予防的な修繕などを実施する「予防保全型メンテナンス」に取り組むことで、中長期的なトータルコストの縮減や予算の平準化を図ることが重要と考えています。複数の自治体や複数分野のインフラを「群」として捉え、効率的・効果的にマネジメントしていく「地域インフラ群再生戦略マネジメント」、いわゆる「群マネ」の全国展開にも取り組み、AI・ドローン・ロボットなどの新技術の導入なども推進していきます。特に、上下水道については、昨年の埼玉県八潮市の道路陥没事故や沖縄県の導水管漏水事故を踏まえ、点検方法の見直しや、事故の発生により多数の地域住民に重大な影響を及ぼす可能性がある管路の更新、災害・事故後に迅速に機能を確保することが容易ではない管路の複線化などに、全力で取り組んでいきます。

 このほか、災害対応体制の強化、災害時における物流・人流の確保、交通の安全・安心、ジェンダー主流化に向けた取り組みによる共生社会の形成、海上保安能力の強化などを図り、国民の安全・安心の確保に努めていきたいと考えています。

――「②力強い経済成長の実現」についてはいかがでしょうか。

小熊 「日本成長戦略」の戦略分野に位置付けられている「造船」「港湾ロジスティクス」をはじめ、力強い経済成長の実現につながる取り組みを、全力で進めていきます。四面環海のわが国において、「造船」は、経済安全保障の確保に寄与し、経済や国民の生活を支える重要な産業です。わが国の造船能力を抜本的に底上げするため、設備投資・研究開発などを支援するための基金を設置し、今後10年で総計3500億円規模の支援の実施を目指すこととしています。昨年末に策定した、この基金を含めた総合的な施策を示す「造船業再生ロードマップ」の実行に、力を尽くしていきます。また、サイバーポートによる港湾手続きの電子化、ヒトを支援するAIターミナルなどの実装により、国際競争力の向上や経済安全保障にも資する「港湾ロジスティクス」の強化も図っていきます。

(資料:国土交通省)
(資料:国土交通省)