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港湾ロジスティクス強化に向けた施策の方向性/国土交通省 古土井 健氏

港湾ロジスティクスワーキンググループによる取りまとめ(案)

――国土交通省では、港湾ロジスティクスの強化に向けた官民投資促進策の検討を進めるべく、これまで数回ワーキンググループを開催しています。ワーキンググループでは、どういった議論・検討を重ねてきたのか。そして、取りまとめ(案)では、どういったものが示されたのでしょうか。

古土井 ワーキンググループでは、まず政府の考える港湾ロジスティクスの現状と先述した三つの課題・リスクについて説明させていただき、その後、関係者・団体などからのヒアリングを行いました。ヒアリングの結果を交え、港湾ロジスティクスの抱える課題・リスクへの対応、そして港湾ロジスティクスの強化に向けて講ずるべき施策について議論を重ね、本年5月20日に開催された第4回ワーキンググループで取りまとめ(案)を示しています。

 取りまとめ(案)では、三つの課題・リスクに対して講ずるべき施策パッケージが盛り込まれています。
まず一つ目の「厳しさを増す経済安全保障環境」には、①自律的な港湾ロジスティクスの実現による国際競争力の強化――として、
ⅰ 他国に過度に依存しないサプライチェーンの構築
ⅱ 生産性向上、DXや脱炭素化の取り組みによる「選ばれる港湾」の実現
ⅲ 港湾を起点とした物流サプライチェーンの強靱化

 二つ目の「厳しさを増す国際情勢とサイバー脅威の増大」には、②サイバー・フィジカル両面で港湾の強靱化――として、 
ⅳ サイバー面での港湾の強靱化
ⅴ フィジカル面での港湾の強靱化

 そして三つ目の「少子高齢化・人口減少に伴う労働力人口の減少」に対しては、
ⅵ 「港湾労働者不足対策等アクションプラン2025」等の実施――が示されています。

 また民間投資が期待される「①港湾荷役機械」「②サイバーポート(港湾物流DX)」「③次世代型倉庫」の官民投資ロードマップにおける目標として、①では、港湾荷役機械の国内市場を引き続き維持しつつ、米国やアジア太平洋地域を視野に国外市場の拡大(約200~300億円/年)を目指す。これにより、2040年頃を目途に、米国市場の3割程度のシェア拡大を狙う。

 ②では、サイバーポートの利用登録状況が26年2月1日時点で約1100社であることから、35年度末には、約1万1000社(22年度時点でNACCSを利用する全ての会社数)との連携を目指す。

 ③では、貨物の取り扱いが多く、海上輸送と陸上輸送の結節点となる港湾の周辺において、自動化・機械化や自動運転等への対応が図られた次世代型倉庫を30年代までに普通倉庫200万㎡、冷蔵倉庫40万設備トンを整備する――が示されました。

(資料:国土交通省)
(資料:国土交通省)

港湾ロジスティクスの強化に向けて

――港湾ロジスティクスの強化に向けた取り組みとして、これら以外に注力している取り組みなどがありましたらぜひ、伺わせてください。

古土井 これまで港湾政策としては、長年「国際コンテナ戦略港湾政策」を進めてきました。基本的な取り組み方針であった「集貨」「創貨」「競争力強化」という三本柱は、まさに経済安全保障そのものですので、この点はさらに展開させていく必要があると思っています。そして現在は、環境への配慮も非常に重要になってきますので、港湾と産業の競争力強化を図りつつ、脱炭素社会の実現に貢献するため、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素・アンモニアなどの受け入れ環境の整備などをはかる「カーボンニュートラルポート(CNP)」の形成を推進していく必要があります。
 
 また先述した名古屋港でのサイバー攻撃などを踏まえた港湾運送事業法、サイバーセキュリティ基本法、経済安全保障推進法などに基づく制度的措置を着実に実施するとともに、サイバー攻撃を想定した訓練などの取り組みを通じ、港湾運送事業者などの「サイバーセキュリティ対応能力」の向上を図っています。

 そして港湾における気候変動への適応を図るため、関係者が気候変動への適応水準や適応時期に係る共通の目標などを定めるとともに、協定などに基づきハード・ソフト一体の各種施策を進める「協働防護」を推進しています。

――港湾ロジスティクス強化の実現。また、それ以外にも大きく変わりつつある港湾の政策実現に向けた今後の展望、また実現に向けた意気込みなどをお聞かせください。

古土井 日本の港湾の力が産業立地環境に大きく影響すると考えていますので、これをいかに強力に進めていくかが重要になってきます。その際、コンテナについて言えば今回の港湾ロジスティクスで得られた方向性をしっかりと実現する必要があります。また資源に乏しいわが国にとってさまざまな産業の原材料などとなるバルク貨物への対応も必須です。さらには国内の物流に目を向けてもトラックドライバー不足に対応したフェリー・RORO船へのモーダルシフト対応も急務となっています。

 加えて港湾という場でみれば、港湾も当然、施設の改修・再編などが必要となる中、どこにどのような産業を立地させるかなど、セットで考えていかなければなりません。そうした面的な計画や長期的な展望などをどうやって地域の関係者と構築していくかが鍵になると思っています。

 また、港湾の場合は利用できる岸壁が他になければ利用者が移転もできず、整備もできませんので、そうした時系列的な部分や手順も含めてしっかりとした絵姿、地域での活用を伝える絵姿を描き、関係する方との連携を深めながら港湾の発展に努めていきたい、そう思っています。

――本日はありがとうございました。
                                                (月刊『時評』2026年7月号掲載)