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【本の紹介】『二階俊博幹事長論』

論創社 定価:本体1,091円+税
論創社 定価:本体1,091円+税

 本誌で「国の実力、地方に存(あ)り」を連載中の政治評論家・森田実氏による、自由民主党幹事長・二階俊博論が刊行された。

 先般の新型コロナウイルス感染拡大の経済対策、国民一人当たり10万円給付でも存在感を発揮した、当代を代表する政治家について、世間やマスコミは「謀略家」「派閥のボス」などのイメージで語ることが多い。森田氏は、こうしたイメージは二階俊博という政治家を捉える上で適切ではない、二階氏ほど平和を愛し、博愛主義で、純粋な政治家はいないと常々述べていた。先入観を取り払い、二階氏の余りある実績をもとに、政治家・二階俊博を評価しようと試みたのが本書である。そのキーワードは「ナンバー2史観」だ。

 「まえがき」にて森田氏は、ナンバー1の動きを軸にしては、真実の政治の動きは見えない、と断言する。三国時代の諸葛孔明、幕末〜明治の勝海舟、世界大戦末期の鈴木貫太郎、1955年保守合同期の三木武吉ら、実力あるナンバー2が歴史を動かした例を挙げ、その偉大なナンバー2に二階氏の名を連ねる。

 事実、二階氏は2016年8月から現在まで自由民主党幹事長(党のナンバー2、党活動を束ねる)を務め、その在職期間は歴代最長。その政治的業績は主なものを挙げるだけでも「観光文化立国の推進」「津波対策基本法制定」「国土強靭化政策の推進」「中韓、ベトナム、アジア諸国、ロシアとの平和友好外交の推進」と幅広い。平成末期から令和初期の政治は、二階氏が動かしたといって過言ではないだろう。二階氏はそれを広言することは決してなく、あくまでナンバー2として振る舞うが、森田氏は、国内外の多くの証言者の言葉を丹念に拾い集め、政治家・二階俊博の凄みを明らかにしていく。

 第1章では、地元・和歌山での若き日の言動から、その平和主義の源泉を。第2章では、歴史上のナンバー2との比較で、その政治力を。第3章では幅広い活動から、その比類なき実績を――。森田氏は二階氏と初めて会ったとき、「この男は世のため人のために、善なる政治をやるためにこの世に生まれてきた人物だ」と感じたと言う。日本を代表する政治評論家・森田実が、心底惚れ込んだ二階氏の真実の姿とは? 新たな視点での二階論に、終章まで発見と感動を味わった。

(月刊『時評』2020年6月号掲載)