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【レポート】奈良県

食と農の一体的な振興を図る「奈良県豊かな食と農の振興計画」策定へ

コメントをする荒井知事
コメントをする荒井知事

 「奈良にうまいものなし」から「奈良にうまいもの『あり』へ。世界に認められる奈良の豊かな食を振興させよう」――。

 奈良県は、このほど全国的にもユニークな、食と農の一体的な振興を図る「奈良県豊かな食と農の振興計画」を策定する方針を明らかにした。同計画は、今年度内にまとめられ、2021年度からの具体的なアクションプランとなる5か年計画として策定される予定だ。食と農を一体的に振興することで、持続的な食や観光の需要創造にもつなげていくのが狙いで、同県の地方創生の目玉戦略としても注目を集めている。

 振興計画の策定に先立ち、同県は、今年度初頭に「奈良県豊かな食と農の振興に関する条例」を施行。県庁内に、「豊かな食と農の振興課」を設置し、「安全で品質の優れた農産物」の生産を通じて、消費者に「おいしく食べてもらう機会」の提供と「食のブランド化」を一体的に進める施策を推進してきた。

「ガストロノミーツーリズム国際シンポジウム 2020 in 奈良」の様子
「ガストロノミーツーリズム国際シンポジウム 2020 in 奈良」の様子


 昨年12月には、「ガストロノミーツーリズム国際シンポジウム2020in奈良」を開催。同県で積極的に進められているオーベルジュ(フランス語で宿泊施設を備えたレストランの意味)を拠点にしたガストロノミーツーリズムの事例などが紹介された。ガストロノミーツーリズムとは、地域の気候風土が生んだ食材、習慣、伝統、歴史などによって育まれた食を楽しみ、文化に触れることを目的にしたツーリズムの意味で、国連世界観光機関(UNWTO)が推進し、欧米を中心に世界各国で積極的に取り組まれているという。

 県では、地元ならではの食材を味わえるなどの基準を満たすオーベルジュ11カ所を「ぐるっとオーベルジュ」としてネットワーク化を進め、ガストロノミーツーリズムの拠点として展開していく。

 荒井正吾知事は、「奈良は、国際的に見て文化財や自然など優れた観光資源に恵まれているが、『食』が課題だった。そもそも『食』は旅の楽しみの一つと言えるので、むしろ『食』を主目的に本県を訪れてもらい、併せて歴史文化を楽しんでもらうスタイルを確立していきい」としている。(編集注=時評4月号で、奈良県荒井知事、日本食文化普及推進議員連盟会長代行・林芳正氏、味の素株式会社代表取締役社長・西井孝明氏による座談会を掲載予定です)
(月刊『時評』2021年2月号掲載)