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【講演レビュー】2025大阪万博・IR

2025年日本国際博覧会・IRに 向けた大阪ベイエリアの開発

大阪市港湾局長 田中利光氏
大阪市港湾局長 田中利光氏

(この論文は2020年1月30日にJPI(日本計画研究所)で行われた講演内容をベースにしております)

夢洲を〝国際観光拠点〟に
 大阪市では現在、2025年に開催が決定した国際博覧会、そしてその同じ夢洲で開業を目指しているIRこと統合型リゾートという、二つの大きなプロジェクトに向けてまちづくりが進んでいます。関西圏における久々の明るいビッグプロジェクトです。舞台となる大阪港沖の人工島・夢洲を、〝国際観光拠点〟として形成するべく、現在の各種インフラ整備や大阪ベイエリアの都市開発構想がどのようになっているのか、解説してみたいと思います。

 まずは、改めてですが大阪市とその臨海部の概況についてご紹介します。大阪市の特徴を一言で表すなら〝コンパクトで巨大な経済集積〟と言えるでしょう。大阪市の道路や鉄道の整備水準は、東京都区部と並び非常に高く、例えば1平方キロメートルあたりの鉄道駅密度は1・11で東京都区部の1・02を超えています。また各種経済指標を見比べると、事業所数や公園面積などは東京都区部と同水準ですが、例えばホテル客室数、百貨店販売額などは大阪市が大きく上回っています。特に近年はインバウンド(訪日外国人旅行者)の伸びが著しく、2018年の対12年度比伸び率が全国で3・7倍だったのに対し、大阪市は実に5・7倍に達しました。また09~16年の大阪におけるインバウンド平均増加率24%は世界主要132都市でトップです。特に中国からの来阪者が太宗を占めており、この勢いをぜひ、IRや万博につなげていきたいところです。

 大阪市の人口は現在約270万人。全国的な少子化人口減が進む中、大阪市ではまだ微増を保っています。ただ、増えているのはJR大阪環状線内で、市内でもJR大阪環状線外はすでに人口減少が始まっています。こうした現状に対しどのようなまちづくりを行い、産業活性化を図るかがわれわれの大きな課題となります。

 こうした問題意識のもと、大阪市では……(続きはログイン後)

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