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PPP/PFI推進アクションプランの改定/内閣府 鈴木 貴典氏

―経済効果創出に加えて地域課題の解決まで―

すずき たかのり/昭和46年6月22日生まれ、愛知県出身。京都大学教育学部卒業。平成6年運輸省入省、24年国土交通省四国運輸局企画観光部長、26年航空局航空ネットワーク部首都圏空港課成田国際空港企画室長、29年観光庁観光産業課長、令和元年内閣官房内閣参事官、3年京都府副知事、6年国土交通省大臣官房審議官(国土政策局、観光庁担当)、7年7月より現職。
すずき たかのり/昭和46年6月22日生まれ、愛知県出身。京都大学教育学部卒業。平成6年運輸省入省、24年国土交通省四国運輸局企画観光部長、26年航空局航空ネットワーク部首都圏空港課成田国際空港企画室長、29年観光庁観光産業課長、令和元年内閣官房内閣参事官、3年京都府副知事、6年国土交通省大臣官房審議官(国土政策局、観光庁担当)、7年7月より現職。

 1999年7月にPFI法が制定されてから四半世紀余り。民間の資金・技術・知見を活用した公共施設の建設・運営・維持管理事例は着実に実績を積んできた。近年では経済効果の高い大型プロジェクトに活用される一方で、小規模な自治体でも多様な形で利用されている。今回、改定されたアクションプランの概要と推進について、鈴木貴典室長に解説してもらった。

大臣官房審議官(経済社会システム担当)
民間資金等活用事業推進室長      鈴木 貴典氏


民間事業者の創意工夫を活用

 まず、PPP、PFI とは何か。定義としては、PPP「Public Private Partnership」が官民連携事業を広く指す概念であり、その中でPFI「PrivateFinance Initiative」はPPPのうちPFI法に基づく事業と、日本では位置付けられています。どちらにおいてもこれらの手法は、公共にとっては歳出の効率化、民間事業者にとってはビジネス機会の拡大、そして住民にとってはサービスの質の向上や地域活性化といった〝三方良し〟の方策として、活用の拡大が期待されています。

 従来型の公共事業が業務別に設計・施工・管理等を分割し、そして部材の仕様・用法まで指定して発注してきたのに対し、PFIではこれをできるだけ一体的に発注します。従来方式では、調達対象物の明確化や公平性確保が優先されますが、PFIでは目指すサービスの達成方法を民間事業者の創意工夫に委ねることでより効果的な公共調達を実現しようとしています。契約期間も従来方式では単年から原則5年間までであるのに対し、PFIではより長期にわたります。そして従来型は公共が資金調達してきたところ、PFIでは基本的に民間事業者が資金調達を行います。

 これらの手法を採用することによって、ライフサイクルコストや行政負担の軽減、質の高い公共サービスの提供、割賦払いなど財政支出の平準化など、さまざまなメリットが期待されるところです。もちろん従来方式でも、必ず民間委託する部分はありますので、PFIではどこまで民間寄りに責任範囲を置くかがポイントになります。事業方式に厳密な基準が決まっているわけではなく、案件によって官と民の役割分担はかなり柔軟で、多様なケースが見られます。要は、最適効率のサービス提供に向け、官民の役割やリスク等の分担の在り方をよくよく考えてみることが、PPP/PFIの本質的命題と言えるでしょう。

(資料:内閣府)
(資料:内閣府)

先行事例にみる成功のポイント

 では具体的な事例に即して、実際の効果等を見てみます。

 宮城県上工下水一体官民連携運営事業はPFIの成功例として知られています。水需要の減少や施設の老朽化等が課題となり、2022年から20年間の事業契約でPFIにおけるコンセッション方式が取り入れられました。コンセッションとは、一定期間施設を運営して収益を上げる権利を物権として運営者に設定し、運営権対価を行政サイドはいただく、という方式です。本件では、薬材等の一括調達や省エネ技術の導入など民間の創意工夫と技術力、そして投資計画等によって、従来方式での想定より1割ほど安い、約337億円のコスト削減と、水道料金の引き下げを実現しました。また地元地域から従業員を新たに雇用して運営会社を設立するなど、将来の運営体制確保に向けて、今のうちから取り組まれています。

 やはり公共の場合、予算使途などの厳格な説明責任を負っているので、投資によって将来利益が還元できそうであっても現時点で証明するのは簡単ではありませんが、民間では投資によるリスクとリターンの判断をオウンリスクで機動的に決定できます。これは官主体と民主体との大きな相違です。

 また留意すべき点はさまざまあり、例えば1割コスト削減を実現しても、独立採算という意味で事業全体を黒字化するものではなく、公共から支払うコストの額がこれまでより1割安くなった、ということでしかありません。他の事案の話になりますが、物価上昇に伴い事業コストが上がってしまったことが、PFIに対する批判に繋がってしまうことも散見されます。しかしながら、公共主体であっても物価上昇の影響を受けることは変わりありません。また現時点で水道料金が値下げされても、給水人口の減少等により将来値上げする可能性は否定できません。仮に値上げとなった場合にも、それはPFI事業が上手く機能していないために値上げとなったのか、外部要因等による値上げなのか区別して考える必要があります。PFIの評価にあたっては、これらの点を混同することなく、整理した上で客観的に評価する必要があります。この点は事業者側も説明責任を負っているので、適正かつ十分な説明をしながら運営することが求められます。

 他の事例として、本日は、鳥取県の事務所と米子市役所を統合して建て替えた事業、愛知国際アリーナ整備・運営事業など大規模案件から、古民家のリノベと再活用など小規模案件まで、全国各地のさまざまなPFI事業の資料をお持ちしました。近年では地方の地元企業が主体となっているケースが増えてきています。当然、事業内容や地域特性はそれぞれ異なるので、他の成功例をそのまま導入することは難しいのですが、どのような工夫をこらしたのか参照することで地元の事業に応用・反映することは十分可能だと思います。

令和8年改定は社会課題解決に重点

 本年6月、われわれはPPP/PFIに関する、政府の年次計画にあたるアクションプランを改定しました。内閣府のPFI室は、PFI全体に関する通則法であるPFI法を所管し、これに基づく基本方針やガイドラインの策定等のほか、分野横断で検討初期段階の支援等を担当しています。他方、各省庁は個別の施設を所管していますので、所管施設についてどのようなルールや計画をつくるか、補助金等を手当てするかは所管省庁がそれぞれ検討していくという構図になりますが、このアクションプランは、各省庁の取り組みも含め、政府全体の行動計画として策定しています

 今回の令和8年改定においては、PPP/PFIはこれまで一定の進捗を果たしてきてはいるものの、現状の社会的課題の解決に向けて、どのような対策を拡充すべきかという視点に重きを置きました。課題とはすなわち、市区町村の4分の1で技術系職員ゼロという事態に代表される、人手不足の深刻化、建設後50年以上経過するインフラが急増しているという老朽化の問題等々です。従って今後は、経済の活性化という視点に加え、いかに効率的に老朽化インフラの更新や運営等を進めていくかという点が極めて重要な命題となります。

 今回の改定版では、老朽化の進展する生活関連インフラである火葬場、一般廃棄物処理施設、国公立病院を重点分野に追加し、従来の14分野650件から17重点分野730件に目標も引き上げました。

 最近、民間企業が経営する火葬場の料金が高すぎるとの報道を聞きます。現実にはさまざまな課題もあるでしょうが、公共が適正な料金やサービスの水準を決定した上で民間で効率的に整備・運営するPFI事業が実現されれば、問題解決に貢献できるのではないかと思われます。全国の地方自治体で火葬場施設の老朽化に対し、PFIが活用されるケースも徐々に増えてきました。例えば、自治体の枠を超えて広域的に受け入れ可能な施設をつくり、将来のさらなる人口減に併せて古くなった施設は更新せず順次解体していくという選択肢もあるでしょう。その場合にもPFIの活用が大いに期待されるところです。

 また、国公立病院については経営が非常に厳しい施設も少なくなく、運営上の課題も多岐にわたるため、PFIであっても公共主体であっても経営改革の難易度が高い分野です。過去にPFIを導入したものの上手くいかなかった事例もあります。が、それでも全国で20件程度、PFIの成功事例が積み上がってきておりますので、そうした先例を関係省庁とともに分析し、成功要因を明らかにすることで、さらなる活用を進めていきたいと考えています。

(資料:内閣府)
(資料:内閣府)